春めく日々、
あたしは悲しくなる。
悪戯のように、
春風は新しい時とともに
過去を連れてやってくるから。
あぁ、もしかしてこの悪戯は
春の悪戯じゃなくて、
あの人なのかな。
あぁ、春霞のように
あたしの視界が曇っていく。
あの人の顔が、
あの日の出来事が、
氷のように
ジワジワと溶けてく。
霧のように
うっすらと消えてく、
もう、いっそのこと忘れてしまいたい。
春霞、あたしの泪を隠してほしい。
春風よ、あたしの記憶とともに運んでほしい。
桜舞い落ちる頃、
あたしはヒトリ満月の下
美酒を飲んだ
ついでに、あの人との思い出も飲み込んだ。
fin
※忠告 コピーなどは絶対にダメです。
kichi
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